今月の主題 膵と胆道疾患
診断のすすめ方
慢性膵炎の診断基準
本間 達二
1
,
長田 敦夫
2
1信州大学医学部・第2内科
2信州大学医学部・内科
pp.1336-1337
発行日 1980年9月10日
Published Date 1980/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216662
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- 文献概要
慢性膵炎は,ときとして急性腹痛発作,血液と尿アミラーゼの異常を認め,慢性に経過しながら次第に膵内外分泌機能の低下する疾患である.組織学的には,基本的には膵腺房細胞の変性・壊死,間質のかなり高度の線維化,膵管系の変化などが認められる.
しかしながら,臨床的には組織生検をくり返すのが不可能なこともあって,確定診断は容易ではない.腹部の不定愁訴をもつ患者に,通常の外来診察や外来検査をして胃・十二指腸や肝・胆道系に異常所見の認められぬとき,かつての「慢性胃炎」や「慢性肝炎」のように,“診断のクズカゴ”として「慢性膵炎」の病名が使用されることも少なくない.膵検査法のあまりなかった10年前には,慢性膵炎を疑診病名として使用することもやむをえなかったが,現在すでにいくつかの膵検査法の応用されている状況では「慢性膵炎」の病名をあいまいに使うことは慎むげきであろう.この意味からも,これまでも述べた慢性膵炎の診断基準をあらためて整理してみるのも無益ではないと思われる.
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