今月の主題 肺のびまん性陰影をめぐって
悪性腫瘍
細気管支肺胞上皮癌—散布型
渡辺 昌平
1
,
長尾 啓一
1
1千葉大肺癌研内科
pp.792-793
発行日 1976年6月10日
Published Date 1976/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402206600
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細気管支肺胞上皮癌は,その胸部X線像がしばしば肺炎,粟粒結核,珪肺などの他肺疾患に類似するため,初診時に非癌性肺疾患に見誤られやすい癌腫である.その発生頻度は諸家により原発性肺癌の1〜15%を占めると報告されているが,当施設においては約3%で,男女差はみられない1).本疾患が最初に報告されてから1世紀を経た今日においても,その腫瘍細胞の発生母地は論議の的であり,細気管支上皮(Clara細胞)発生説2),肺胞上皮II型細胞発生説3),およびそのいずれからも発生しうるという説4)の3説がある.それゆえ,疾患名としても肺胞上皮癌,細気管支癌,細気管支肺胞上皮癌,肺胞細胞型腺癌,終末細気管支癌など,さまざまな呼称が用いられている.病理形態学的肉眼像から,限局腫瘤型,限局浸潤型,および散布型に細分される.本稿では散布型について述べる.
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