今月の主題 肺のびまん性陰影をめぐって
肺の線維化の機序—生化学的立場から
今野 淳
1
1東北大抗酸菌病研究所内科
pp.768-770
発行日 1976年6月10日
Published Date 1976/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402206592
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はじめに
肺は外界に直接通じている器官であるために,常に外界よりの刺激に影響される.種々の刺激の結果,結合織の破壊あるいは増生が起こるが,いわゆる肺の線維化というのは,結合織の増生と考えられるが,結合織は線維芽細胞,肥満細胞および形質細胞などの細胞成分とコラーゲン線維およびエラスチンより成る線維成分と,酸性ムコ多糖より成る無構造の基質から形成されている.結合織は組織臓器の支持体としての働きだけでなく,種々の代謝産物の搬入搬出経路としての働きもあり,また創傷,炎症の治癒の場でもある.肺の線維化は肺間質結合織の異常増殖状態である.肺の線維化の原因を表1に示した.
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