Japanese
English
特集 肺気腫・肺線維症の病態発生メカニズム
肺線維化の生化学
Biochemistry of pulmonary fibrosis
本宮 雅吉
1
,
永井 宏美
1
,
下田 茂
1
,
荒井 秀夫
1
,
阿部 達也
1
,
今野 淳
1
Masakichi Motomiya
1
,
Hiromi Nagai
1
,
Shigeru Shimoda
1
,
Hideo Arai
1
,
Tastuya Abe
1
,
Kiyoshi Konno
1
1東北大学抗酸菌病研究所内科
1Internal Medicine, The Research Institute for Tuberculosis and Cancer, Tohoku University
pp.701-708
発行日 1986年7月15日
Published Date 1986/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404204892
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び漫性肺線維症は粉塵,薬物,放射線などが原因となって起こるほか,いわゆる特発性肺線維症(idiopathic pulmonary fibrosis=IPF)とよばれる原因不明の線維症もある1)。原因のいかんにかかわらず,本症の特微は,肺容量の減少,肺コンプライアンスの低下,ガス交換の異常とされている。一方臨床症状は速やかに進行する例があるかと思うと一方では比較的症状が安定し,長期にわたってゆっくり進行する例もある。
間質型の肺線維症ではまず,肺実質細胞の変化,炎症および免疫奏功細胞の増殖を主とする急性肺胞炎が起こる(第一期)1)。さらに慢性肺胞炎の時期に移行すると,非細胞成分にも変化が起こってくるが,この時期の特徴は一型細胞の傷害と二型細胞の増殖である(第二期)。第一期から第二期に移行すれば病変は不可逆的と考えられる。第三期の特徴は間質内コラーゲンの変化で,こうなると光学顕微鏡的に線維化として検出できる。コラーゲンの増加は単なる線維芽細胞の活性化だけでは説明できず,コラーゲン合成と破壊の複雑な過程が関与しているものと考えられる。第四期はend-stage lungで肺胞構造は消失し,もはやガス交換能を営むことのない嚢胞構造(cystic space)だけがみられる。
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