Japanese
English
今月の主題 骨髄増殖性疾患
話題
骨髄線維化の機序
Mechanisms underlying bone marrow fibrosis
後藤 明彦
1
,
大屋敷 一馬
1
Akihiko GOTOH
1
,
Kazuma OHYASHIKI
1
1東京医科大学内科学第一講座
キーワード:
myelofibrosis
,
骨髄増殖性腫瘍(myeloproliferative neoplasms)
,
transforming growth factor-β
Keyword:
myelofibrosis
,
骨髄増殖性腫瘍(myeloproliferative neoplasms)
,
transforming growth factor-β
pp.309-314
発行日 2010年3月15日
Published Date 2010/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542102259
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1.骨髄線維化とサイトカイン
BCR-ABL陰性の骨髄増殖性腫瘍(myeloproliferative neoplasms;MPN)ではいずれの病型でも骨髄の線維化を合併しうる.原発性骨髄線維症(primary myelofibrosis;PMF)では細胞増殖期を経て比較的早期から,本態性血小板血症(essential thrombocythemia;ET)や真性多血症(polycythemia vera;PV)では経過中あるいは終末期に骨髄の線維化をしばしば認める.
この線維化は骨髄へのコラーゲン線維の沈着が主体で,骨新生(骨硬化)と血管新生を伴っている.コラーゲン線維の主要な産生細胞である線維芽細胞は非クローナルであり,機能的には正常であることが証明されている1).したがってMPNは幹細胞のクローナルな疾患であるが,骨髄線維化は反応性のものであると考えられている.そして,これらの疾患では,線維形成を促進させるサイトカインや血管新生促進性サイトカインの過剰発現がみられること1,2)から,この反応性の線維化には巨核球や血小板,単球などが産生するサイトカイン,特に,病的造血細胞クローンの巨核球のネクローシスによって放出されるサイトカインによる骨髄内サイトカイン過剰状態が関与していることが示唆されている(図1).
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