今月の主題 内科医に必要な末梢血管病変の知識
診断
主な検査法
大原 到
1
1東北大第2外科
pp.344-349
発行日 1976年3月10日
Published Date 1976/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402206462
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はじめに
末梢血管病変の検査法には理学的検査法,血液の生化学的検査法および病理組織学的検査法とに3大別される.本稿では,主として血管病変と症状との関連よりみた理学的検査法について述べ,とくに一般に普及しており,かつこれからも用いられると思われる検査をとりあげる.
血管病変に起因する症状は3つある.1つは血管壁の変化に由来する動脈瘤,あるいは静脈瘤の形態の異常である.2つめには血管の内腔狭窄や閉塞によって惹起される循環異常である.第3には血管壁の異常と血流異常とが合併したもので,動静脈瘻がその疾患のひとつである.血管の形態異常を伴うものは上肢,あるいは下肢の身体の表面から,その存在を観察できるし,また,疑診をもてばこれをさらに確認する方法としては,血管撮影が最も有力な検査法である.これに反し,血流異常に由来する諸症状に関する検査法は現在確立した方法はない.その理由は,四肢の血流支配が主幹動静脈と副血行路という二重構造になっている上に神経支配と血液中の化学的物質の影響のため,血流は一方が減少しても他方でこれを代償し,これによって局所の総血流量が左右されるからである.したがって乏血症状が恒常的に存在するということは稀で,むしろ絶えず変化することから,以下述べる諸検査法の成績の臨床的評価は多面的な情報資料のひとつとしてのみ取り扱われるべき性質であることを予め強調しておきたい.
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