今月の主題 甲状腺疾患のすべて
甲状腺機能検査
甲状腺の視床下部・下垂体性調節と検査
満間 照典
1
1名大・第1内科
pp.1342-1343
発行日 1975年8月10日
Published Date 1975/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402206168
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はじめに
甲状腺機能が視床下部・下垂体系により調節されていることは広く知られている。すなわち視床下部よりTSH放出ホルモン(TRH)が分泌され,このTRHが下垂体門脈系を経て下垂体に作用しTSHを分泌させる.TSHは甲状腺に働き甲状腺ホルモンを分泌させる.また逆に血中の甲状腺ホルモンが過量となると,視床下部および下垂体に働きTSHの分泌を抑制するいわゆるnegative feedback機構が存在することもまた良く知られている.このように視床下部・下垂体・甲状腺は機能的に1つのループを作り,甲状腺ホルモンレベルを一定に保っている.
視床下部・下垂体系による甲状腺機能調節の検査法としては,従来TSH測定,TSH刺激試験,T3抑制試験等が行われていたが,最近TRHが合成され入手可能となり,TRHテストとして臨床的に下垂体のTSH分泌予備能を知る検査法として広く用いられている.また,TRHそのものの測定もradioimmunoassay(RIA)が導入され測定が可能になりつつあり,視床下部・下垂体系による甲状腺機能調節の検査法も著しく進歩した.本稿においてはこれら検査法中,TRH測定法,TRHテスト,TSH測定法,TSHテストを取り上げ,これらテストの臨床的意義および実施上の注意等について解説する.
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