今月の主題 甲状腺疾患のすべて
甲状腺機能検査
甲状腺ホルモン測定法
T3レジン摂取率(T3RU)
仙田 宏平
1
1岐阜大・放射線科
pp.1338-1340
発行日 1975年8月10日
Published Date 1975/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402206166
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はじめに
甲状腺ホルモン,すなわちサイロキシン(T4)およびトリヨードサイロニン(T3)の大部分は血中でサイロキシン結合蛋白(TBP)と結合しているが,TBPには甲状腺ホルモンと結合していない不飽和の部分が存在し,これはホルモン量と負の相関をもって変動することが知られている.この不飽和TBP量から間接的に血中甲状腺ホルモン量を測定するsaturation analysisは近年の甲状腺機能検査法の急速な進歩と普及に大きな貢献をしている.
1955年,Hamolsky1)は,血液と孵置した131I-T3が血漿蛋白のみならず赤血球にも結合することを見出し,このことを利用して131I-T3赤血球摂取率(T3EU)が甲状腺機能亢進症で高値を,逆に低下症で低値を示すことを報告した2),このT3EUがsaturation analysisによる甲状腺機能検査法の土台となっている.その後,1960年,Mitchellら3)は赤血球の代わりにpolyurethane resinembedded sponge(Triosorb resin sponge)を用い,T3EUと比べてより簡便で,精度の高いレジン・スポンジ摂取率(T3RSU)を開発した.
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