今月の臨床 婦人科内分泌療法─病態の理解と正しい診断に基づく対処・治療のポイント
不妊・避妊
1.視床下部・下垂体性排卵障害
木内 理世
1
,
松崎 利也
1
,
苛原 稔
1
1徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部産科婦人科学分野
pp.465-473
発行日 2011年4月10日
Published Date 2011/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102634
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1 概 念
月経周期は視床下部─下垂体─卵巣の協調的な作用により調節されている.中枢では視床下部からゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)が分泌され,その刺激により下垂体から卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体形成ホルモン(LH)が分泌される.一方,卵巣ではLH,FSHの作用で卵胞発育と排卵が起き,女性ホルモンなどが分泌される.卵巣由来のホルモンは中枢へのフィードバックシグナルとなり,GnRHやLH,FSHの分泌に影響を与える.このような協調作用が,視床下部,下垂体,卵巣のいずれのレベルで異常をきたしても排卵は障害され,無月経,不正性器出血,不妊症などの原因となる.
排卵障害は不妊原因の約25~30%を占め,原因疾患の病態に応じた排卵誘発治療を施行する必要がある.また,妊娠を希望しない時期には,月経異常に対するホルモン療法が必要となる.本稿では,続発性無月経の原因の約7割を占める視床下部・下垂体性排卵障害について解説する.
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