今月の主題 出血傾向の新知識
出血傾向の管理
出血傾向と手術
村上 文夫
1
1阪大第2外科
pp.956-959
発行日 1975年5月10日
Published Date 1975/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402206050
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はじめに
外科手術に際し,大きな血管からの出血はいちいち結紮止血しなければならないが,無数の毛細血管からの出血はとくに手を加えなくても自然にとまってしまい,何ら手術操作の妨げとはならない.これは出血と同時に毛細血管機能,血小板機能ならびに血液凝固機能の3者が協調的に働いて自然止血の機序が営まれ,血管破綻孔がフィブリン塊でしっかりと塞がれてしまうからである.しかしながら,これら3つの機能のいずれかに障害があるか,または凝固系に拮抗する線溶系が異常に亢進した場合には,手術創からとめどない毛細管出血が起こって,ときには生命をも危うくすることがある。したがって,術前にこのような出血性素因の有無をよく検し,もし異常があれば予めこれに対する的確な止血対策を立てておくことが,外科手術を安全に遂行する上に,きわめて重要である.
本稿においては,とくに術前止血検査に関する2,3の問題点を取り上げて概説
したい.
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