今月の主題 糖尿病への新たなる対処
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インスリンレセプター
赤沼 安夫
1
1東大・第3内科
pp.738-739
発行日 1975年4月10日
Published Date 1975/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402205979
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インスリンは膵β細胞で生合成され,門脈血行を介して,まず肝細胞に作用した後に全身の組織に分配される.インスリンの標的細胞における作用はブドウ糖,アミノ酸の膜透過,蛋白や脂肪合成,グリコーゲン代謝や脂肪動員抑制,核酸代謝などの多岐にわたるが,細胞外液中に存在するインスリンの作用の細胞レベルにおける第1のステップは細胞膜上のインスリンレセプターとの結合である.この分野で多くの研究成果をあげてきたCuatrecasasによると1),インスリンレセプターとは細胞内の構成成分であり,インスリンを「認識」することができ,認識した後でインスリンの持つ生物学的情報を他の細胞成分に「伝達」することができ,結局上記インスリンの諸作用を惹起するという.インスリンとレセプターの結合は酵素と基質の結合に対比することができ,酵素の触媒作用上,酵素・基質複合体形成が必要条件であるごとく,インスリンのレセプターへの結合はインスリン作用発現の必要条件となっている.
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