生体のメカニズム 脂質代謝・5
LDLレセプターとスカベンジャーレセプター—その機能と検査
福生 吉裕
1
1日本医科大学第二内科
pp.449-456
発行日 1993年5月1日
Published Date 1993/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543901581
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はじめに
動脈硬化発症進展にとってコレステロール(LDL)を取り込むレセプターの働きは重要である.動脈硬化の主なリスクファクターである高コレステロール血症はLDLを細胞内へ取り込むレセプター側の異常により生じる場合が多い.一方,変性したLDLを取り込みマクロファージの泡沫化を促進するのはスカベンジャーレセプターである.
まずはじめに発見されたLDLレセプターはほとんどの細胞表面に存在し,LDLを取り込み血中のコレステロールをその数と機能で調節していることが知られている.このLDLレセプターの数が減少したり,取り込み機能に障害が生じると高コレステロール血症(家族性高コレステロール血症familial hypercholesterolemia;FH)が生じる.次に,実際の粥状動脈硬化巣の初期像においては,リポ蛋白由来のコレステロールを大量に取り込んだ泡沫細胞が内膜平滑筋細胞間に存在している.そのほとんどは単球由来のマクロファージより構成されており,しかもこのマクロファージはLDLレセプターを発現させずに変性したLDLを認識して取り込む,もう1つのレセプターを発現させている.これをスカベンジャーレセプターという.今回はこの2つのレセプターを中心にその意義と検査のしかたについて述べる.
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