特集 アレルギーと自己免疫
III.自己免疫疾患
2.自己免疫疾患の検査
5)自己抗体
(30)抗インスリンレセプター抗体
荷見 澄子
1
Sumiko HASUMI
1
1東京女子医科大学糖尿病センター
pp.251-253
発行日 1991年11月30日
Published Date 1991/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542900868
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
■検査意義と目的
一般にインスリン抵抗性は,肥満やインスリン非依存型糖尿病において認められる病態である.これらの場合と,非常に著明な高インスリン血症を示し,かつ耐糖能異常を伴うような症例に出会った場合に鑑別すべき疾患の1つとして,B型インスリン抵抗症があげられる.これは,1975年Flier1)によって報告された特異な糖尿病である.その特徴は,インスリン受容体自体に異常は認めないが,血中にインスリン受容体に対する自己抗体が存在することである.すなわち,インスリン受容体のインスリン結合部位がインスリン受容体自己抗体によって阻害され,インスリンがその生物活性を発揮できないために結果として著しいインスリン抵抗性を示す疾患である.この疾患の臨床的特徴は,特異的な皮膚症状acanthosis nigricansのほか,自己免疫疾患としての病像を備えたものである.
このB型インスリン抵抗症と鑑別すべき疾患としては,A型またはC型インスリン抵抗症,多彩な先天異常を伴うレプリコニズムやRabson-Mendenhall症候群,脂肪萎縮性糖尿病などがあげられる.これらとB型インスリン抵抗症の鑑別点として最も重要なポイントは,抗インスリン受容体抗体の存在の有無である.以下に,その測定法について簡単にまとめてみた.
Copyright © 1991, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.