特集 これだけは知っておきたい検査のポイント
VIII.血液化学検査
血清鉄
黒川 一郎
1
1札幌医大・中検
pp.584-585
発行日 1975年3月20日
Published Date 1975/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402205919
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血清鉄は決して単独に上下する値でなく,食餌中の鉄含量,摂取量,小腸からの吸収量と,同時に吸収されるアミノ酸などの種類(グルタミン酸,アスパラギン酸,VCは吸収を促進し,メチオニン,プロリン,セリン,リン酸化合物などは抑制的といわれる〉,組織への沈着,Hb合成への利用度,破壊,トランスフェリン量,感染,腫瘍などさまざまな因子の支配を受ける.鉄は腸管内で第1鉄イオン(Fe2+)として血流に入り.細胞内で酸化されFe3+となり,アポフェリチンと結合する.さらに体内を循環する時は血中のグロブリン分画と結合トランスフェリンと結合し鉄蛋白として担送される.鉄は体内で細胞(酵素Fe),細網内皮細胞(貯蔵Fe),骨髄(HbFe),筋肉(ミオグロビンFe)に利用されるから,血済鉄はこれら諸臓器の機能いかん,吸収・排泄のバランスおよび人間の成長,日内変動,性差など多面的な因子から影響を受けていると考えなければならない.
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