今月の主題 心身症からみた症候群
診断
心身症を疑うには
樋口 正元
1
1慈恵医大第3分院内科
pp.266-267
発行日 1975年3月10日
Published Date 1975/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402205804
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はじめに
日常診療に際して,患者がどのような症状を訴える時,それが心身症,すなわち心因性由来のものとしての可能性をもつか,換言すれば,心身症としての疑診を抱くには,どのような条件が揃った時に可能であるか,について述べるのが筆者に与えられた課題である.
そこで,まずはじめにお断りしておきたいことは,第一に主として筆者自身の臨床経験における個々の具体的事象から一般的なものを導き出すようにしたことである.第二に心身症とはなにかについては,「身体症状を主とするが,その診断や治療に心理的因子についての配慮がとくに重要な意味をもつ病態を心身症と呼び,これを心身医学的治療の主要な対象にする.」という日本精神身体医学会の概念規定に従ったことである.これは一見抽象的な概念であるが,煎じつめれば,心因(心理的原因または心理的因子)が関与して,とくにそれを問題にしなければならない病態はすべて心身症であるということである.したがって,発病に心理的因子が関与している場合(一次的心身症primary PSD)でも,また,なんらかの身体疾患の経過中に心理的因子が関与した場合(二次的心身症secondary PSD)でも,同様に心身症として扱うのである.
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