今月の主題 手術適応の問題点
他の治療法との関係からみた手術適応
難治性肺結核
今野 淳
1
1東北大抗酸菌病研究所・内科
pp.1280-1282
発行日 1974年10月10日
Published Date 1974/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402205607
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化学療法による効果の現況
肺結核はなんといっても伝染病なので,喀痰中の結核菌を消失させることが第一義的に重要なことである.従来の療法であるSM・INH・PASの3者療法を初化療患者に実施すると5%位の菌非陰転者が残り,かつ近年この一次剤の耐性菌感染による肺結核も10%近くあるので,なお治療には注意しなければならない.また,不充分な治療,不徹底な治療で菌陰転せず,耐性菌となるものがある.抗結核剤は現在10指に余るほどあるので,いろいろな組み合わせが可能であるが,SM・PAS・INHのいわゆる一次剤耐性患者に二次剤を投与すると菌の陰転が期待できる.
表1は抗酸菌病研究所付属病院に入院した患者で3剤以上(ほとんど大部分はSM・PAS・INHの一次剤に耐性で,二次剤に耐性のものも含む)の耐性患者を治療した年次表である.これらの患者は広い意味の難治肺結核と考えても良い.初めはKMが出現したのでKMのみで菌の陰転が見られ,次にKM・TH・CSを使用して35%の患者の菌が陰転し,さらにEBが出現したのでEB単独あるいはEB・VMの併用で44.8%の菌陰転があり,最近出現したRFPで患者の菌が陰転している.現在はもっと陰転率は良くなっている1).この表は新抗結核薬の出現により,そのたびに何割かの患者の菌が陰転することを示している.もちろん,全部の薬に耐性になってどうにもならない患者も出てきている.
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