今月の主題 手術適応の問題点
他の治療法との関係からみた手術適応
肺化膿症
早田 義博
1
,
関口 令安
1
1東医大外科
pp.1277-1279
発行日 1974年10月10日
Published Date 1974/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402205606
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治療法の変遷
従来までの膿瘍(空洞)を主体とする肺化膿症は,発病初期の化学療法によってほとんど影をひそめてきた.呼吸器を専門とする内科医のある者は肺化膿症は内科的に治療せしむべき疾患であると極言する向きもある.また我々胸部外科医も外科療法の適応と認める症例は最近全く経験がない.すなわち実地医家によって発病初期に治療させられるべきであり,かつそのようになりつつある.たとえば教室での283例の肺化膿症の治療法をみると,図1のごとく,昭和26年から40年までは肺切除の症例も非常に多くみられたが,昭和46年以降は2例が切除されているにすぎない.わずか2例でも切除されたということは前言をくつがえすことになるが,ここで注意すべき点は,この2例はいずれも肺癌との鑑別が困難であった例である.本来の肺化膿症の切除例は全くない.
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