今月の主題 肝硬変—今日の視点
肝硬変をどう扱うか
肝不全の治療
平山 千里
1
1九大第3内科
pp.890-891
発行日 1974年7月10日
Published Date 1974/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402205491
- 有料閲覧
- 文献概要
肝硬変症における肝不全症状とみなされているのは,肝性昏睡,腹水,消化管出血,腎不全などであり,これらの症状は重篤な予後を示唆するため,正確な治療方針をたてることが必要である.これらの肝不全症状は独立してあらわれるよりも,相互に関連して出現する場合が多いが,代表的な症状とみなされているのは肝性昏睡である.
一般に肝硬変症に出現する肝性昏睡は,門脈大循環性脳症のカテゴリーに含まれるため,劇症肝炎などに比べ慢性に経過し,また治療しやすい特徴をもっている.すなわち,本症は消化管内の中毒性因子の生成や吸収を抑制することによりコントロールしうる場合が多い.すなわち,一般論的にのべると,肝不全の対策は増悪因子の除去とならんで,消化管対策,さらに中毒性因子の除去または拮抗などの点に要約することができる(表).
Copyright © 1974, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.