臨時増刊特集 これだけは知っておきたい診断のポイント
IV.肝・胆道・膵疾患
ヘモクロマトーシス VS 肝硬変
平山 千里
1
Chisato HIRAYAMA
1
1鳥取大学医学部・第2内科
pp.1936-1937
発行日 1980年11月20日
Published Date 1980/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216820
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なぜ鑑別が問題となるか
ヘモクロマトーシスは非ヘミン鉄が過剰に沈着し,実質臓器の線維化と機能低下をきたす疾患である.臨床的には,皮膚の色素沈着,肝腫,糖尿病,関節障害,心不全,性腺機能低下など多彩な症状がみられる.一方,肝硬変では,一般に鉄が肝臓に沈着しやすいが,とくにアルコール性肝硬変では,アルコール性飲料,たとえばブドウ酒に鉄が含まれていること,また膵炎を合併すると鉄の吸収が増加するなどの理由から,続発性ヘモクロマトーシスをきたす場合がある.したがって,ヘモクロマトーシスとアルコール性肝硬変はときとして鑑別が困難な場合がある.
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