病歴のとりかた
肝疾患
平山 千里
1
1九大桝屋内科
pp.61-63
発行日 1969年1月10日
Published Date 1969/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402202514
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肝疾患は,種々の内因性および外因性の障害因子によって成立するものであり,その成因分析は,一部の肝臓病を除くと比較的困難である.一方,臨床検査技術の進歩に伴い,肝障害の有無のスクリーニングは比較的容易になってきており,現在,多数の"原因不明"の肝障害患者が検出されつつある.
従来,肝疾患における病歴は,原因不明ということが前提となっていたため,比較的軽視される傾向にあった.しかし最近引き続き,肝臓の障害因子が明らかにされたため,肝疾患の診断面における病歴の占める位置は重要となってきた観がある.また,肝疾患の非代償期症状が,黄疸や腹水のほかに,消化管出血や意識障害まで含まれるようになったため,これらの症状解析に病歴のもつ意義が広く認識されてきた.小稿は,肝疾患の病歴をとる場合注意すべき点についてふれるとともに,著者が最近経験した数症例について述べて御参考に供したいと思う.
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