今月の主題 最近の老人病—臨床とその特異性
みなおされてきた老人の疾患
心アミロイドージス
栗原 博
1
,
寺沢 富士夫
2
1東大・第3内科
2浴風会病院
pp.2062-2064
発行日 1973年12月10日
Published Date 1973/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402205219
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はじめに
アミロイドージス1)は,糖蛋白を主体とする病的な物質が全身の臓器の組織間隙に沈着する,一種の沈着症である.原発性にしろ続発性にしろ,多くの例で心臓や血管系にアミロイドの沈着がみられ,頑固な心不全や,不整脈の原因となる.一方,アミロイドージスの中には,加齢に伴うものがある2).すなわち,高齢者の剖検例では,詳細にしらべると,アミロイドの沈着が,心臓・脳・膵・精?・卵巣などの間質や,これらの臓器の血管壁に,その程度は一様でないが,思いのほか高率にみられるとされている.なかでも,心臓に限局してアミロイドをみることが多く,老人性心アミロイドージス(Senile cardiac amyloidosis)として注目されている3)〜10).近年,老年人口の急増とともに,老年者でみられる心不全や不整脈の原因の一つとして,あらためてみなおされてよい疾患の一つといえよう。循環器系のアミロイドージス一般については別にふれたにとがあるので11),ここでは老人姓心アミロイドージスを中心に,簡単にのべることとする.
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