診断のポイント
アミロイドージス
菊谷 豊彦
1
1東大・物療内科
pp.359-361
発行日 1967年3月10日
Published Date 1967/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402201693
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アミロイドージスは最近急激に報告数が増加し,筆者が集めた原発性アミロイドージスの報告例は57例になり,本邦では地理病理学的にもまれな疾患とはいわれなくなつた。その増加は食生活ならびに診断技術の向上によるものであろう。アミロイドージスは,基礎疾患を認めるか認めないかにより,続発性と原発性の二つに分けられる。骨髄腫を伴つたアミロイドージスの分類は議論が分かれている。続発性アミロイドージスは結核,癩,梅毒,慢性化膿性疾患を基礎疾患として多く認める。原発性アミロイドージスは心,肺,血管,消化管,皮膚などの非定型臓器に血管・筋肉・間葉性にアミロイド沈着が起こり,続発性アミロイドージスは沈着臓器が肝,脾,腎,副腎などの定型臓器を中心として,毛細血管および腺周囲性に沈着を起こすといわれたが,両者に移行が多いということは多数の者が認めており,本邦例ではアミロイドの沈着分布上の差がないといわれる。さらに続発性アミロイドージスの基礎疾患がはたしてアミロイドージスの原因になっているかまぎらわしい症例にぶつかることがある。筆者の例でも過去に慢性中耳炎と肺結核があり,非定型的アミロイド沈着を認めた例があるが,慢性中耳炎と肺結核が続発性アミロイドージスを起こしたか否か,その臨床像を相互に結びつける規準は,一般的にもないし,また,病理学的にも決定的な像はつかまれていない。
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