今月の主題 最近の老人病—臨床とその特異性
みなおされてきた老人の疾患
骨粗鬆症
井上 哲郎
1
1慈大整形外科
pp.2065-2067
発行日 1973年12月10日
Published Date 1973/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402205220
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骨組織では,吸収と添加という2つの動的バランスによって,その形態と強度が保たれている.この両機転のバランスが崩れると,そこに一定の骨変化が起こってくる.すなわち添加機構が減退し,相対的に吸収機構が上回ると,次第に骨は粗鬆化を起こし,Havers管が拡大,骨皮質は菲薄となり,海綿骨骨梁も減少し,骨は全体的に脆弱化してくる.これを骨の粗髪化と表現するわけである.しかしこの骨粗鬆症という言葉は単一の疾患名ではなく,種々の原因により起こった状態の総称である.その原因としてはmalnutrition,disuse,post-traumatic(Sudecks' atrophy),Cushing's Syndrome,acromegaly,diabetes,hyperthyroidismなど挙げられるが,本稿では一般的に脊椎骨粗鬆症と呼ばれているprimary osteoporosis(postme-nopausal osteoporosis)について述べることとする.
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