特集 これだけは知っておきたい治療のポイント
X 腎・泌尿器
4.腎不全とその対策
急性腎不全の輸液
加藤 暎一
1
1慶大内科
pp.1958-1960
発行日 1973年11月20日
Published Date 1973/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402205179
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急性腎不全の治療として近年透析療法の普及がめざましいが,輸液を含めた内科的体液管理を軽視しては終局的予後の向上は望めない.乏尿期の体液バランスのポイントは次の三点である.1)過剰な水・Naが投与されると腎はそれを排泄し得ず体内に停滞する.2)stressが強いため脂肪や蛋白のcatabolismが亢進し,内因性の燃焼水も増加するし,さらに細胞破壊によって遊離する水も増加する.3)細胞内の多量のKが細胞外に遊出し,高K血症をきたしやすい.
したがって,他の疾患に比べ急性腎不全ではきめの細かい配慮が必要である.詳細な既往,綿密な現症の把握,不可欠な検査所見などから,総合的に判断を下さねばならない.しかも病態がdynamicに時々刻々変化するため,余り時問的余裕がない点にむずかしさがある.
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