今月の主題 新しい栄養療法
各種疾患における栄養療法
腎不全とアミノ酸輸液
折田 義正
1
,
安東 明夫
2
Yoshimasa Orita
1
,
Akio Ando
2
1大阪大学医学部・第1内科
2大阪大学健康体育部
pp.66-68
発行日 1984年1月10日
Published Date 1984/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218858
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腎不全とは腎機能が極度に低下し,体液恒常性を維持できなくなった状態をいい,これにより水・電解質異常,酸塩基平衡障害,高窒素血症を呈してくる.この結果各種の症状を伴う尿毒症においては蛋白・アミノ酸代謝,糖代謝,脂質代謝はすべて異常をきたす可能性があり,相互に関与して悪循環しながらwasting syndromeとしての病態を成立させる.
とくに,腎にその代謝産物排泄の主経路をもつ蛋白・アミノ酸の代謝異常は古くから知られ,その治療法である蛋白摂取制限による予後延長効果は1世紀近い以前より認められている.しかし,蛋白負荷を軽減するという消極的保存療法では,窒素バランスは負となる.1963年,Giordano1)は,腎不全患者の血漿アミノ酸異常に注目し,低蛋白食療法下で必須アミノ酸を補充する試みを行った、これは,彼らの意図は別としても,栄養制御により,腎不全時の代謝異常を治療しようとする積極的保存療法であると評価できる.
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