今月の主題 内科領域における輸液と輸血
特殊な場合の輸液・輸血
腎不全患者の輸液・輸血
大野 丞二
1
,
角原 孝
1
1順大・内科
pp.318-321
発行日 1973年3月10日
Published Date 1973/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402204645
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
腎不全時の輸液・輸血を理解するには,まず腎不全の病態生理を熟知する必要がある.腎機能の役割を一口にいえば「尿の生成」である.すなわち生体内の過剰な物質を体外に排泄する一方,その過程において生体にとって必要な物質を保蓄し,体水分量,電解質濃度ならびにpHの3者を一定に保つという3っの大きな機能をつかさどり,これにより肺と共に生体のhomeostasisの維持機構の一翼をになっている.
腎不全とは,この大切な機構に可逆性または不可逆性の乱れを生じた状態であるから,同じ輸液・輸血といっても腎不全時においてはその意味合いに大きな差があることは当然といえる.腎不全と一口にいっても種々の病期があり,それぞれの病態生理の詳細については成書に譲るとして,紙面の関係上本項にては腎不全を急性と慢性に分けて述べたい.
Copyright © 1973, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.