今月の主題 転換期に立つ検診
検(健)診実施上の問題点
結核検診
山本 善信
1
1兵庫県立柏原病院
pp.974-975
発行日 1973年8月10日
Published Date 1973/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402204846
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はじめに
結核検診は,周知のように古くから結核予防法によって推進されている国民的検診であるが,その重要性は,結核治療の歴史とともに変わってきている.わが国の結核治療の歴史をふり返ると,昭和12年に起こった支那事変の頃に遡る.当時,入隊して大陸へ送られた壮丁の中の2.5%が,肺結核で内地送還になったので,結核対策は,健民健兵の立前から焦眉の問題として取り上げられることになり,強力に肺結核検診が計画され実行に移されていった.
結核の治療法は,初め,人工気胸,人工気腹療法の時代を経て,胸部外科療法全盛の時代となっていたが,昭和30年代後半に入って,併用化学療法の威力が実証されると,その後は,ほとんどの結核が化学療法のみで治療されるようになってきた.
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