今月の主題 転換期に立つ検診
検(健)診実施上の問題点
年齢別健診の考え方と問題点
船川 幡夫
1
1東大教育学部
pp.972-973
発行日 1973年8月10日
Published Date 1973/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402204845
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健診と検診
健診と検診と2種の音を同じくした表現がひろく用いられている.これらは,あるいは同じものとし,別のものとしたり,人によっていろいろの意味に用いられている.ここでは,この両者をやや異なったものとして考えていきたい.すなわち,健診の場合には,健康診査あるいは健康診断を短くしたものであって,健康状態を評価するための行為とし,検診は特定の目的をもった検査を行なうものと考え,したがって,後者が健康の一部としての心身のある状態を検査しようとするのに対して,前者は後者の結果をも含めて,ひろく健康状態全般の評価を目指したものであるといえる.ここにいう年齢別の健診といった場合には,ある疾患を目的とした検診以外に,個体だけでなく,環境をも含めた健康全般の問題をとりあげているということである.
とくに,発育し,発達しつつある小児については,たとえある疾患についての検診結果が異常なしであっても,それだけで健康であるとはいえないし,発育上,あるいは行動上の問題も当然考えなければならないし,検診の結果を保健指導へと発展させようとする場合,検診の結果だけでは十分とはいえない.小児については総合的な健診の表現の好んで用いられるゆえんであろう.
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