今月の主題 問診
問診の意味づけ
阿部 裕
1
1阪大内科
pp.680-681
発行日 1973年6月10日
Published Date 1973/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402204751
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問診とは何か
現代の診断学の基盤のほとんどは,症候論symptomatologyの上に立っている.この概念はいまや急速に変貌しようとしているが,患者との問答という形式はひきつづき守られると思われる.そこで問診という行為を介して,医師は何を探ろうとしてきたのか,という命題を考えてみたい.最近,情報科学がいろいろの分野で導入されてきたが,非常に面白い応用は哲学にみられる.哲学の命題は人間とは何であるべきかということになるが,これを解く手がかりは言語のなかにあるといわれている.つまり,われわれが使っている言葉の価値的な面を分析して,正とか邪とか,善とか悪とかといった言葉を使って,われわれ自身が人間をどのように評価しているかを解きほぐしてゆくと,人間はどうありたいかという問題に対する考えを取り出すことができる.ソクラテスやプラトンの哲学は,こういう基礎から出発しているわけである、
ところが情報科学的なアプローチは,人工言語を使って人間のもつ論理を研究するという行き方をとる.すなわち,人工言語の研究が,それによって表現されている世界の構造の研究につながるわけである.最近の哲学の研究はこういうアプローチによって,数学者が次々と新しい方向を切り開いているといわれている.
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