特集 ‘気づき’のプロセスを探る
‘気づき’のプロセス—看護プロセスにそった意味づけ
島内 節
1
1国立公衆衛生院衛生看護学部
pp.788-795
発行日 1977年8月1日
Published Date 1977/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661922499
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はじめに
我々は日常行動において,あまり意識的ではないとしても,なんらかの思想や価値観のようなものが,その基盤になっている場合が多いと考えられる.看護においてもこの関係は同じで,むしろ日常行動よりも意識的行動が多いとすれば,その関係はより強いであろう.従ってその行動を支えるものは,看護観あるいは看護の思想といったものに当たると考えられる.看護は,その過程で思考錯誤的状況があったとしても‘より健康的な生活を目指して対象を援助する’という目的志向的活動である.思想のない行動は,目的や方向性をもちえない.
ところで看護は,‘気づき’(場合によって感受性と表現する)からはじまる.この‘気づき’とは,対象を知る意味での気づきとその対象の健康問題への気づきの両方を含む,この‘気づき’を問題にする時,その背景となる看護観とでもいうような思想的問題を抜きにして語ることはできない,その思想や感受性なるものは,純粋に職業的意味のみがそのすべてとなるわけではなく,その看護者のパーソナリティ・知識・経験などによって異なる意味をもつ.また個人の中でも,その人の成長過程とともに変化するという意味で,形成途上にあるともいえよう.その思想や感受性は,本質的には他人との関係を通して形成され,変化するものではあるが,それぞれの看護者個人に属しているその人固有のもち味のようなものとしてもとらえられる.
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