今月の主題 内科最近の話題
肝・胆・膵
アルコール性肝炎
芳賀 稔
1
1自衛隊中央病院・内科
pp.444-445
発行日 1973年4月10日
Published Date 1973/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402204683
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はじめに
アルコールと肝障害の関係については,古く16世紀頃から知られており,特に欧米では肝硬変の50-80%がアルコールに基因するといわれている.一方,わが国における肝硬変の成因としては,従来ウイルス肝炎に由来するものが大部分であり,アルコールが原因であるものは少ないとされてきた.ところが,近年わが国におけるアルコール消費量の増加とともに,アルコール由来の肝障害患者が漸増し,筆者らの施設でも肝疾患患者の10-15%を占めるに至っている.
大酒家に見られる肝障害の病型としては,脂肪肝,アルコール性肝炎,肝硬変があげられているが,このうち特に常習飲酒家が大量の飲酒を契機として,黄疸などの急性肝機能不全状態を呈する,いわゆる急性アルコール性肝炎(以下AAHと略す)が,肝硬変の成り立ちに重要な意義を持つものとして注目されてきた.
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