特集 いま求められる肝炎の知識
アルコール性肝炎の診断と治療
高橋 久雄
1
1国立久里浜病院内科
キーワード:
アルコール性肝障害
,
診断基準
,
断酒
,
肝庇護剤
,
アルコール依存症
Keyword:
アルコール性肝障害
,
診断基準
,
断酒
,
肝庇護剤
,
アルコール依存症
pp.696-699
発行日 2003年8月1日
Published Date 2003/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100675
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Case
黄疸・嘔気で受診したアルコール性肝炎の1典型例
患 者:42歳,男性.会社員.
主 訴:黄疸,嘔気.
既往歴:健診で肝障害の指摘あるも放置.
現病歴:22歳頃より毎日ビール大瓶3~4本飲酒.最近の飲酒量はさらに増加.1カ月くらい前から食欲低下,嘔気出現.食事は摂れず,飲酒のみ継続.黄疸が出現し,吐物に血液が混じっていたため当院受診す.著明な肝腫大と腹部の圧痛があり,血液検査ではTB 4.9 mg/dl,GOT 315 IU/l,GPT 187 IU/l,γ-GTP 1,260 IU/l.発熱と白血球増多も認め,アルコール性肝炎と診断された.入院のうえ,断酒,食事療法,肝庇護剤点滴にて改善傾向にある.吐血はマロリーワイス症候群によるものであり,保存的に治癒した.
疾患概念
アルコール性肝炎とは,アルコール性肝障害の中心をなす病型であり,初期病変であるアルコール性脂肪肝と末期病変の肝硬変を結び付ける病態である.長期大量飲酒に,連続飲酒発作と呼ばれる酒量の増加が加わった場合に発症し,臨床的には黄疸や腹痛,発熱などの症状を,また組織学的には肝細胞の変性・壊死・炎症を主体とする.
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