今月の主題 内科最近の話題
心臓
肥大閉塞性心筋症
坂本 二哉
1
1東大・第2内科
pp.410-411
発行日 1973年4月10日
Published Date 1973/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402204670
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肥大閉塞性心筋症(hypertrophic obstructive cardiomyopathy:HOCM)はいわゆる原発性心筋疾患(primary myocardial disease:PMD)の中で,積極的に診断しうる特異な病像を持つ一亜型であり,過去10数年間にわたり心臓病学における1つのトピックとして扱われてきたものである.本症はその名の示す如く,心室筋自体に原発する肥大によって,左室(または両室)の閉塞ないし狭窄をきたす疾患である.この疾患は米国では特発性肥大性大動脈弁下狭窄(idiopathic hypertrophic subaortic stenosis:IHSS),また筋性大動脈弁下狭窄(muscular subaortic stenosis:MSS)などとも呼ばれるが,後述するように,これらは重複する点が極めて多いが,元全に同義語であるとはいえない.
HOCMの頻度は正確には不明であるが,決して稀ではなく,米国NIHでは過去13年間に約400例の経験があるという.筆者は1966年来25例を観察しており,同年間における大動脈弁狭窄症の約1/2の頻度に相応する.しかし近年,この疾患が増加してきたという証拠は無い.従来本症に気づかなかったのは,そのような概念がなかったからであろう.
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