病理夜話
ノイローゼ(その3)
金子 仁
1,2
1日本医大
2日本医大・老研基礎部
pp.565
発行日 1972年4月10日
Published Date 1972/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402204072
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吻合はよくできていたので,胆汁はどんどん排泄される.ドレーンを腹からたらして,胆汁をベッドの下のビンに出しているので,よくわかる.黄疸は日に日によくなる.体力もようやく回復してきた.頭の働きも回復してきた.
こうなると今までは「生命が助かってよかった」と感謝のみであったのが,「何で石が取れなかったのか」とむしろ,うらみにさえ思うようになった.この残った石から胆管癌が発生しやしないか,吻合部から細菌感染を起こして肝膿瘍ができはしないか—実際石の周囲の胆管から腺癌がジリジリと増殖する組織像すら頭に鮮やかに描かれるのである.
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