特集 最近の医学の話題
ノイローゼと病院
井村 恒郞
1
1日大医学部
pp.10
発行日 1956年8月15日
Published Date 1956/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401201707
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綜合病院の神経科のクリニックを訪れる新来患者のうち,だいたい30%から40%くらいがノイローゼである。これに比較すると精神分裂病は15%くらいであるから,ずつとすくない。だがこんどは入院患者についてみると,精神分裂病のほうが圧倒的に多くて,入院して治療をうけるノイローゼは,きわめてすくない。入院患者の半数以上が精神分裂病であるのにたいし,ノイローゼは,それこそ数えるほどしかないのが通例である。
ノイローゼは,こうしてもつぱら外来治療を受けているのであるが,これは,ノイローゼという異常状態の本質から考えても,また現在の神経科の病院の機構から考えても,当然なことであつて,ノイローゼの入院治療はごく例外的な場合しか考えられない。
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