話題
山積する検討課題—厚生省スモン調査研究協議会の「キノフォルム見解」をめぐって
石川 哲
1
1北里大眼科
pp.451
発行日 1972年4月10日
Published Date 1972/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402204051
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長いこと不明の奇病とされていたSMONに対して去る3月13日に厚生省スモン調査研究協議会から「その主病因はキノフォルムであると判断する」という結論が提出された.周知のごとく本症は本邦に多発し,その発生も昭和30年代からであり,分布はほぼ日本全国にわたっている.研究協議会のメンバーの努力により,一応キノフォルムを疑うことは一昨年秋にこの問題がマスコミで大々的に取り上げられてから注目されはじめたことも事実であろう.
それまではいくつかの学説が出現しては衰微するといったことがくり返された.筆者も昨年までこの研究協議会に加わっていたので,今回この時評を書けと依頼されたに違いないので,あくまで私個人の印象ということをあらかじめお断わりして,私見を中心に紹介してみたい.
世界的注視の中で 本症は現在患者の会が結成され,国と製薬会社を相手に裁判を起こしている最中であり,その規模の大きさはマンモス化し,おそらく世界中の学者達もこのなりゆきを見守ることであるに違いない.従って日本の今回の報告書も世界中の学者に追試をされるであろうから,その内容はそれに耐えなければならない.スモンの主要症状として
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