時事を読む
介護保険実施―問題山積の出発
春日 キスヨ
1
1安田女子大学
pp.171-174
発行日 2000年3月25日
Published Date 2000/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663902219
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安堵・期待感そして不安感
「主人は重度の痴呆症で,要介護認定を受けたんですが,認定してもらうとき,ちょうどデイケアを申し込んでいて,デイケア施設併設の介護支援センターの職員さんが調査に来られたんで,あんまり重かったらデイケア利用を断わられると思って,実際はできないこともできると答えた項目がいっぱいあったんです.でも先日,認定された要介護度によって,下りる保険金の額も違い,利用できるサービス量も変わってくると知り合いから聞かされて,どうしようかと悩んでるんです.どうすればいいんでしょうか?」.
痴呆症の夫を介護する生活になって5年というSさん(75歳)からの相談であった.「そんなに不安なら,事情を担当者に話してもう一度調査を受け直したいと申し入れしてみたら」.そう,私は答えた.しばらくして,「最初のままだったら要介護度2だったのが,やり直して4ぐらいに変わるだろうと言われました.ありがとうございました」という連絡が入ったのだが,私はこの結果を喜ぶと同時に,介護保険が持つ問題点について改めて考えた.
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