カラーグラフフ
内分泌疾患の視診所見―粘液水腫
尾形 悦郎
1
,
寺山 勇
2
1東大第1内科
2茨城県立中央病院皮膚科
pp.1166-1167
発行日 1971年7月10日
Published Date 1971/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402203751
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粘液水腫(myxedema)は,甲状腺ホルモンが長い期間欠乏した時に生ずる病態で,本来は組織組成の変化—ムチン様物質の貯留—を意味する.しかし一般には,成人に発症した甲状腺機能低下症と同義語に用いられている.それというのも甲状腺機能低下症患者のphysical examinationに際して,粘液水腫性組織変化を反映する所見が,徴候のもっとも前面に現われるからである.粘液水腫は,下垂体不全によるTSH欠乏の結果としてもおこってくる—二次性甲状腺機能低下症—が,その程度は甲状腺自体の病変によるもの—一次性甲状腺機能低下症—ほど顕著ではない.一次性甲状腺機能低下症のもっとも多い原因は,慢性甲状腺炎(橋本病)で,そのほか前頸部の手術,131I投与などに続発するものがある.一次性甲状腺機能低下症が乳幼児期におこればクレチンの病態をとる.以下に示す諸変化はいずれも可逆的で,適正な甲状腺ホルモン補充により,すべて消失する.
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