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サイクロセリンは精神分裂を解明するカギか
Archibald Cohen
1
,
浦田 卓
1Veterans Administration Hospital
pp.953
発行日 1971年5月20日
Published Date 1971/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402203697
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サイクロセリンcycloserineは,他の抗結核剤が失敗に帰したときですら,結核にもちいて有用な薬であるが,おしむらくは毒性が強いために,用途が制限せられてきたウラミがある.その副作用としてあげられているのは,うとうと状態,真性めまい,連発性吃音,嚥下困難,視力減退,無感覚症,知覚異常,筋間代性運動,ケイレン(大量摂取患者のほぼ10%に)などである.なおその精神病学的副作用には,記憶の変更,判断の障害,自殺の企図およびパラノイアなどがある.ある症例にみられた精神病学的反応に至っては,精神分裂のパラノイド・タイプの反応と区別がつかなかったほどである.
サイクロセリンを大量投与するとピリドキシンが尿中へ過剰に排泄されることがわかっているので,サイクロセリンとともに大量のピリドキシンを投与すると,神経学的副作用はほとんど除去できたが,精神病学的毒性のほうはこれを予防することがほとんどできなかった.偶然のことでわれわれは,ある種の精神病を解明しうるカギを手に入れているのかも知れないが,いまのところわれわれは,まだその錠のほうを暗中模索しているところのようである.
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