カラーグラフ
全身性紅斑性狼瘡の眼底所見
松井 瑞夫
1
1日大眼科
pp.1534-1535
発行日 1970年10月10日
Published Date 1970/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402203362
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全身性紅斑性狼瘡(S. L. E.)にみられる眼底病変には,網膜静脈の拡張,棉花状白斑の出現などがある.ここにあげた症例は,19歳の男性であり,図1aおよび図1bにみるように,著明な静脈の拡張と棉花状白斑の出現など,典型的な眼底所見を呈した症例である.
さて,棉花状白斑cotton wool patchesは,高血圧症や糖尿病でもみられる眼底病変であり,これらの疾患の眼底病変の程度分類に際して,重要な目標どなっている所見の1つである.そして,その発生病理については,いろいろな説があげられてきたが,現在では局所性網膜乏血focal retinal ischemia(Ashton,196)であるとする説が広く承認されている.このことは,網膜血管造影法ともいうべき螢光眼底撮影fluorescein fundus photographyによって,よくとらえられる.図1cが図1aに対応する螢光眼底写頁であり,棉花状白斑が螢光眼底写真の上では充盈欠損としてとらえられ、この充盈欠損の部には,閉塞血管が黒い陰影としてとらえられている.この棉花状白斑が,precapillary arterioleともいうべき大きさの動脈の閉塞により出現するということを,膠原病としてのS. L. E. の病理組織学的所見と対比してみると,この血管閉寒がangitisによるものであろうということが推測される.
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