臨床メモ
肩こり—X線診断の適応
永野 柾巨
1
1佼成病院整形外科
pp.1494
発行日 1970年9月10日
Published Date 1970/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402203350
- 有料閲覧
- 文献概要
肩こりは頸椎,肩関節,上肢帯の骨関節,靱帯,筋・筋膜などの病変に由来する群と,内臓疾患の部分症状として表われる群とに大別できる.後者には高血圧,肝疾患,心疾患,胃腸疾患,更年期障害,感冒その他の感染性疾患,時には胸膜や縦隔洞の病変によるものがある.これらの場合には,それぞれの診断に応じたX線指示がある.この場合に頸椎や肩関節には他覚的所見がなく,項肩部の痛みよりもむしろ重圧感,筋緊張感が主である.この場合には原因疾患探究がたいせつであり,肩こりに対する特別なX線診断適応は問題にしなくてもよかろう.
前者,すなわち頸椎肩甲帯周辺に原因が求められる場合のX線適応は積極的な指示(頸椎,肩関節の骨関節病変を確認するためのもの)と,軟部組織に原因を推定するための消極的なX線指示との2つがある.このいずれの場合にも,まず第5頸准(ほぼ甲状軟骨中央)を中心として前後,側方の2方向撮影,あるいは肩関節2方向(前後および腋窩より体軸頭方向の撮影)を行なうことにしている.
Copyright © 1970, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.