治療のポイント
高血圧症を伴う糖尿病の管理
榊田 博
1
1日本バプテスト病院
pp.1447-1450
発行日 1970年9月10日
Published Date 1970/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402203335
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糖尿病と高血圧の関係
糖尿病は慢性に経過し罹病年数の重なるにつれて,とくに糖尿病のコントロールの不十分な症例において,脈管系障害-動脈硬化症,腎障害,虚血性心疾患など高血圧を惹起する疾患を併発しやすい.他方,本態性高血圧症またはその遺伝的素因を有する者の間で,糖尿の発生頻度の高いことは周知の事実である.またCushing症候群,Pheochromocytomaなど,いわゆる内分泌性高血圧症では,原疾患に関与する内分泌機能の異常が血糖調節機構にも波及して,糖尿または過血糖を一過性あるいは持続性に併発する.そのほか高血圧症の治療に用いるThiazide系降圧利尿剤を使用するとき耐糖能に異常を伴うことも指摘されているなど,糖尿病と高血圧症とは密接な関係がある.
内分泌性高血圧症やThiazide糖尿など,いわゆる二次性糖尿病と称せられるものは,高血圧に対する処置,原疾患または直接的原因に対する治療ないし対症療法が主体をなすが,膵臓ランゲルハンス氏島から分泌するインスリンの不足によって招来する,本来の糖尿病では,その療養生活管理は二次性糖尿病のそれとは著しく趣を異にする.
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