臨時増刊特集 日常役立つ診療技術
診断篇
III.循環器系疾患の診断技術
9.プレチスモグラフィー
三島 好雄
1
1東大第1外科
pp.713-715
発行日 1970年5月20日
Published Date 1970/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402203124
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定容積容器に器官や体肢の一部を入れて,その容積変化を記録する方法をPlethysmographyとよび,末梢部の動脈波を脈拍に一致する容積変動として現わすことができる.Plethysmographyによる肢容積変化の記録は,1862年Bouissonが人の前腕以下を水を満たしたガラス瓶に入れて容積変化を描記しようとして以来,種々改良され,1905年になってBrodieが本法により器官の流血量を測定しうることを実証してから広く応用されるようになった.
その後,主として生理学の分野で,種々の測定方法や装置が考案されているが,これらのPlethysmogra-phyによる容積脈波描記は,検査時の条件を一定に保つことが困難で,一般の臨床検査として日常実施するには不適当であるため,近来電子工学を応用した容積脈波描記法が臨床検査として行なわれるようになった.すなわち,光電池や光電管に指趾先などの透過光や反射光を導いて,容積変化を吸光量の変化として電気的に描記する方法が考案され,これらはPhotoele-ctric plethysmographyとよばれている.これらの方法によって描記された容積脈波は,心拍出量・動脈血圧・静脈血圧・血管緊張度・末梢抵抗などによって変化し,末梢血行状態の一面を示すものであって,古くから心血管疾患の診断に用いられている.以下,自験例を中心にして末梢血行障害という面からのみ記載する.
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