文献抄録
超低温応用による前立腺剔除術/ウィルムス氏腫瘍の転移巣治療
pp.186
発行日 1968年3月20日
Published Date 1968/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413200362
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Cryosurgeryは超低温応用により組織破壊をおこさせる方法でCo-oper(1962)がパーキソン氏病の視床破壊に応用して注目された。その後ConderおよびSoams (1965)等が前立腺疾患による排尿障害の治療に用いて有効であることを確認して以来広く注目を集めるようになつた。
超低温の組織破壊作用については次の諸点が考えられる(1)組織の脱水による電解質の変化(2)細胞膜破壊を伴つた細胞質の結晶作用(3)蛋白の変性(4)熱ショック(5)血行停止 等である。組織学的変化としてはCorder(1964)の犬による実験結果では超低温作用直後では作用領域の出血性壊死が強く現われ,経時的に出血所見は減少し,10日前後には壊死組織周囲に線維芽細胞の浸潤が目立つようになる。組織学的には壊死所見は3週間程度継続し,この頃から前立腺組織の再生が見られるようになる。組織反応としては動脈血栓に見られる像と類似しているが,壊死組織周辺における炎症所見は比較的少ない。
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