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特集 第1回神経病理懇話会
肝脳疾患の肝病理
Pathological Studies on the Liver of Hepatocerehral Diseases
志方 俊夫
1
Toshio Shikata
1
1東京大学医学部病理学教室
1Department of Pathology, School of Medicine, Tokyo Univ.
pp.116-139
発行日 1960年10月30日
Published Date 1960/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431901816
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緒言
最近我が国に於て,特に神経科或いは内科の研究者の間に肝脳疾患に対する著るしい興味の増大が見られ,又従つてこの領域に於ける顕著な知見の進歩が見られるのである。特にWilson氏病に於ける銅代謝,アミノ酸代謝の異常の問題,猪瀬教授による肝脳疾患特殊型の提唱等かそつ主なものとして上げられる。
又この肝脳疾患に於ける脳の病理形態学もかなり詳細に研究されているのであるか,一方肝脳疾患の片棒を担う肝臓の病理形態学的研究は殆んど行われていないというのが現状である。例えばWilson氏病の肝臓は一見しただけで特異な肝硬変症であり,普通日本で輪状肝硬変と呼ぼれている肝硬変の中でも特殊な地位を占めているのであるが,その形態発生formale Geneseは全くわかつていない。ただ古く2,3の人々が簡単にその成立に関してふれている程のものである。又日本で最近特に問題にされてい所謂肝脳疾患特殊型については,これを肝臓の方から眺めた業績を見出す事は全く出来ない状態である。
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