今月の主題 臨床栄養学—最近の進歩
今日における食事療法
肝疾患
上野 幸久
1
,
岡田 正
2
Yukihisa UENO
1
,
Tadashi OKADA
2
1川崎中央病院
2川崎中央病院内科
pp.610-611
発行日 1981年4月10日
Published Date 1981/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217117
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肝疾患に対する特効的薬剤の皆無といってよい現状では,患者の生活の規制と食事療法が治療面における主役である.そして食事療法が慢性肝疾患の予後に大きな影響を与えることを実証したPatekの報告(1941)1)の価値は40年後の今日でも基本的には失われていない.すなわち特別な病態の場合を除き,高蛋白高カロリー食が肝疾患食事療法の主流をなしているのが現状である.しかしながら,一方肝疾患の過剰なカロリー摂取に起因する肥満,脂肪肝,合併症としての糖尿病状態の問題,さらに過度の高蛋白食がもたらす肝性脳症の誘発といった有害作用に関しては,十分留意する必要がある.体重など一般状態の管理を含め,病態を把握し,それに応じた適切な指導を行うことが望まれる.
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