統計
死亡診断書に記載された本態性良性高血圧症の死因(2)
菅沼 達治
1
1厚生省統計調査部
pp.1411
発行日 1968年12月10日
Published Date 1968/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402202464
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前号にかかげた表から,合併症の致命度と個々の組み合わせの死亡数を考慮して,死亡診断書に当初良性高血圧症と書かれた死亡例について,脳死,心死,腎死の割合をやや大胆ですが推計すると,つぎのとおりであります.脳卒中と心(AH)は脳,心が同じ割合,脳動脈硬化と心(A'H)はすべて心,脳卒中と腎(AN)は脳が3で腎が1の割合,脳動脈硬化と腎(A'N)はすべて腎,心と腎(HN)は心が4で腎が1,脳卒中,心,腎(AHN)は脳,心がともに3で腎が1,脳動脈硬化,心,腎(A'HN)は心が2で腎が1としてそれぞれの割合を配分し,これらに脳単独15.9%,心15.5%,腎2.4%を合計しますと,脳死が30.0%,心死が42.3%,腎死が11.2%で合計83.5%となります.これを合計100%になおしますと,脳死36%,心死51%,腎死13%であり,良性高血圧症の直接死因は,脳死が1/3,心死が1/2,腎死が1/8と推計されます.表の下段の数字により,種々の組み合わせによる重複を無視した延べ数で発現割合をみますと,心がもっとも多くて61%ですが,腎は29.5%にすぎません.
血圧と合併症の関係(表1)について,最低血圧のみ記しますと,血圧が高くなるにつれてその割合を増すものは,個々の組み合わせでは脳卒中と心(AH),心と腎(HN),脳動脈硬化と心,腎(A'HN)であり,延べ数では心,腎であります.
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