今月の主題 高血圧とその周辺
本態性高血圧と昇圧物質
本態性高血圧とアルドステロン
吉永 馨
1
1東北大第2内科
pp.1390-1391
発行日 1973年11月10日
Published Date 1973/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402204954
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アルドステロンの昇圧機序
本態性高血圧症(以下EH)と昇圧物質,という場合,アルドステロンは,カテコールアミンやアンジオテンシンとはいささか異なる種類の昇圧物質であるといわなければならない.アルドステロンを静注しても血圧は上昇しない.アルドステロン--ないし広く電解質コルチコイド一般--は,数週間投与したのち初めて血圧が上昇する.その場合でさえ,被検者ないし被検動物がナトリウム(Na)の摂取を厳しく制限していれば,高血圧はおこらない.
これらのことから,アルドステロンないし電解質コルチコイドの昇圧作用は間接的なものであって,Na依存性であることが分かる.現在,アルドステロンの昇圧機序は図1の如く考えられている.すなわち,アルドステロンは腎の遠位尿細管に作用してNaの再吸収を促し,これと引換えにカリウム(K)を尿中に排泄させる.水はNaに伴って移動するので,その結果,体内にNaと水とが蓄積されることとなる.これは,生理的状態ではこれら成分の体外への喪失を防ぐ働きをしているが,アルドステロンが多すぎると,これらが体内に過剰に貯溜することとなる.すると血圧が上がる.
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