臨床メモ
いつも頭が重い
加瀬 正夫
1
1関東逓信病院第3内科
pp.650
発行日 1968年5月10日
Published Date 1968/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402202225
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頭が痛いというのと頭が重いというのでは,実際では異なるのあるが,頭が重いなら痛むものはまつたく無視してよいというわけにはいかない。したがつて,一応頭の中で頭痛すべてを鑑別していくことが必要である。すなわち,まず脳動脈硬化症,脳血管障害,脳腫瘍,緑内障,脳の炎症,ことに髄膜炎などを,年齢,発病経過,血圧,簡単な神経学的検査などによつて鑑別しなくてはならない。"いつも頭が重い"のいつもにとらわれて,このような器質的障害がいつも急激に発作し,激しい頭痛をきたすものであると簡単には決められない。そのほか,中年以降では側頭動脈炎や肺性脳症にも注意する必要がある。
さて,このようにして,器質的なものをのぞくと機能的なものとしてしばしばみられるのは,片頭痛,筋収縮性頭痛,両者の混合型である。閃輝性暗点などの前駆症を伴う典型的な片頭痛発作ではそれが高潮期になると,悪心,嘔吐を伴い,患者はひと眠りすると,あとさっぱりする。発作と発作の間では症状はないといつた特徴がある。これに反していつも頭が重い人は筋収縮性頭痛か混合型のことが多い。乗り物に酔いやすい,疲れやすい,天候の影響を受けやすい,精神的にストレスが多い,胃腸のぐあいも悪い,家系に類似の症状を示すものがあるなどの特徴がある。頭はしめつけられるよう,お椀をかぶせられているようで,後頭部から頸,肩にかけて痛みを訴えやすい。家庭や社会的環境の中にストレスの原因のみられることが多い。
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