症例ライブラリー 脊髄幹麻酔で困ること
いつもの帝王切開 いつもの硬膜外のはずが
矢野 武志
1
Takeshi YANO
1
1宮崎大学医学部附属病院 麻酔科
キーワード:
偶発的硬膜穿刺
,
ADP
,
硬膜穿刺後頭痛
,
PDPH
,
硬膜外自家血パッチ
,
EBP
,
髄腔内カテーテル挿入
,
ITC
Keyword:
偶発的硬膜穿刺
,
ADP
,
硬膜穿刺後頭痛
,
PDPH
,
硬膜外自家血パッチ
,
EBP
,
髄腔内カテーテル挿入
,
ITC
pp.18-21
発行日 2024年1月1日
Published Date 2024/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101202791
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■症例
31歳の女性。身長152cm,体重68kg(非妊娠時体重58kg)。妊娠38週で,骨盤位のため選択的帝王切開術が予定された。心電図,胸部X線写真,血液検査に特記すべき異常はなかった。
脊髄くも膜下硬膜外併用麻酔(CSEA)を行うため,左側臥位とした。背部は皮下組織が厚く脊椎の触知が難しかったが, Jacoby線近傍にて棘突起を確認できた。
局所浸潤麻酔を行った後,18G Tuohy針を用いてL3/4より硬膜外穿刺を開始した。正中法でアプローチし,硬膜外腔の確認は生理食塩液とガラスシリンジを用いた抵抗消失法で行った。
複数回の穿刺後,Tuohy針が靭帯で固定され,いつものようにゆっくり針を進め,深さ6.5cmで抵抗消失を確認した。少し深いかと思いながら指を離すと,ガラスシリンジに透明な液体が逆流してきた。逆流の勢いや量から,抵抗消失法で押し込んだ生理食塩液ではなく,脳脊髄液の流出であることが瞬時にわかった。あわててシリンジの押子を保持し,「まずは落ち着け」と念じながら手を止めた。
さて,あなたならどうする?
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